2004
平成16年
7月
ゼロエミッションに挑み、
資源循環型社会の構築に
大きく貢献
車社会の沖縄において拓南商事(株)は、これまでも廃自動車問題に真摯に取り組んできました。1979年に開発した自動車解体機では「科学技術庁⾧官賞」を受賞。1980年には、廃車エンジン部分のアルミとミッションの回収を効率的に進めるためのアルミ溶鉱炉を導入しました。
続く1982年には、鉄くずを破砕し非鉄回収率をアップさせるシュレッディングプラントを導入。さらに1988年には、爆発物除去のためあらかじめ粗破砕するプレシュレッダーを、また大型鉄くずを切断する1,250トンのギロチンプレスシャーを設置し、機械化と効率化を推し進めました。
そして1999年、ゼロエミッション、つまり資源の徹底的な再利用を目指したシュレッダーダスト再加工プラントが、シュレッディングプラントとリンクしました。廃自動車を破砕し、有価金属等を取り除いた後には、かなりの量の廃棄物(シュレッダーダスト)が発生します。これまでシュレッダーダストは、産業廃棄物として管理型最終処分場にて埋立処分されてきましたが、県内の処分場は、数が少なく、シュレッダーダストを処分できるのは1ヵ所のみ。その1ヵ所も満杯に近い状態のため、ダスト処分費が急騰。その結果、廃自動車の処分に高額な費用がかかるようになり、不法投棄が至るところで見られるようになりました。これは全国的にも社会問題化し、2005年1月には「自動車リサイクル法」が施行されました。
拓南商事(株)が全国に先駆けて導入したプラントでは、シュレッダーダストを次の手順で再加工することができます。まず、ダストに混入している非常に細かな採取しにくい有価金属(銅・アルミ・ステンレスなど)を自動的に分離回収。残ったダストを、さらに風力や比重選別で繊維系とプラスチック系に分類。これを直径35mm、⾧さ50~100mmサイズに固形化し、拓南製鐵(株)の電気炉で遣う助燃材および加炭材として再利用するのです。
2005年には、廃自動車を適正に効率よく解体するELV(使用済自動車)再資源化工場が稼働。一連のプラント導入により、1台(約1トン)の廃自動車から生じるシュレッダーダストは、当初の約300kgから2005年当時で約70kgにまで削滅されました。1台当たり92%というリサイクル率は、当時の全国レベルを凌いでいます。この成果に対する業界の評価は高く、本土からわざわざ見学に来る業者も少なくありません。
2006年には、その功績が認められ「沖縄ビジネス大賞」を受賞。コンパクトな廃棄物の資源化処理技術と環境ビジネスとしての先進的な取り組みは、島嶼規模での環境産業の可能性を高めたと評価されました。